2013年12月21日土曜日

「これからの海洋教育を考えるセミナー」に参加してきました!

先日、「これからの海洋教育を考えるセミナー」なるものに参加してきました。「環境教育」はよく聞くけど「海洋教育」はあんまり聞かないなぁとか思いつつ参加しましたが、サンゴ礁をフィールドにした教育活動についても事例紹介もあり、気づきや学びのある時間を過ごすことが出来ました。



イベントの概要などについては以下をご参照。
第3回 これからの海洋教育を考えるセミナー (沖縄) - 主催:NPO法人海の自然史研究所

セミナーのしょっぱなで海洋政策研究財団の方がお話していましたが、2007年7月20日に施行された海洋基本法の28条に「海洋に関する国民の理解の増進等」が掲げられており、その中で「学校教育お呼び社会教育における海洋に関する教育の推進」が明示されているとのこと。さらに2008年の3月に制定された海洋基本計画にも「海洋に関する国民の理解の増進と人材育成」が取り上げられているらしいです。

そんな感じで国が法律の中でも取り上げている海洋教育ですが、まだまだ日本では浸透していないよねっていう現状と、それを受けて今後どう推進していけばいいのかについて考えるのが今回のセミナーの目的でした。

ということで、せっかくの機会だったので特に気になった事例や気づきなどを記録がてらにご紹介したいと思います。


1. 碧南海浜水族館と学校の連携の仕組み

愛知県にある碧南海浜水族館の方(琉大の大先輩!)が水族館の学校と連携した教育活動について紹介していました。市の科学館も併設した水族館ですが、HPの教育普及活動を見てもわかるように市民に向けた教育活動をとても熱心にされているようです。水族館と連携して授業を行うことは、同じクオリティーの教育を各クラスへ、または各学校へ提供することができるので、学校や生徒にとってとても有意義なことです。

碧南海浜水族館・碧南市青少年海の科学館

トップページ横にある項目から「教育普及活動」のページに飛ぶと対象別の学習プログラムのリストや活動の様子などが見ることができます。



教育普及活動のページ

ここで感心したのは学校現場との連携の仕組み。学校の先生が水族館に併設されている科学館の副館長として3年間出向し、水族館スタッフといっしょに教育普及活動に携わるとのこと。そして3年間を終えるとまた学校現場へ戻るそうです。これにより水族館・学校の両者に主に以下のようなメリットが生まれます。

▼学校側のメリット
・教員が授業に活かせる水族館の機材や施設について詳細に知ることができる。
・管理職候補の先生が、学校を外から見直す機会となる。

▼水族館側のメリット
・学校側の事情や生徒の扱いに詳しい人材が得られる。
・出向を終えて学校へ戻った先生は水族館の事情に詳しい強力な味方となる。

出向を終えた先生の中には、そのまま校長先生になる方もいるようで、そうなるとかなり連携しやすくなります。そんな先生たちにとっては出向により外から学校の動きを知ることができ、学校側の怠慢?や運営における改善点などに気づく良い機会となるそうです。また、連携に当たっては水族館側で市バスの手配を行うなど、先生方の負担を減らすための工夫も欠かせないとか。

これと同様に、沖縄でも学校教員が県立博物館の科学展示の担当を持つようですが、話を聞くとその先生が中心となって仕事をすることになるらしく、フォローアップの体制が整ってはいないようでした。沖縄にも立派な水族館や博物館があるので、碧南海浜水族館のようにうまく地域の教育に協力できる仕組みが整うといいのですが・・・。


2. 地域の事業者たちによるサンゴ礁学習の提供

「わくわくサンゴ石垣島」というプロジェクトをご存知でしょうか?僕も初めて知ったのですが、石垣島の八重山漁協サンゴ養殖研究班と、白保魚湧く海保全協議会、石垣島沿岸レジャー安全協議会、NPO法人沖縄エコツーリズム推進協議会の4団体が連携して島民へサンゴ学習の機会を提供しようというプロジェクトです。

島内住民のサンゴ礁生態系に対する理解を深め、住民と事業者が一体となって島の資源である自然環境を保全・活用していこうという石垣島発のプロジェクトのようです。

わくわくサンゴ石垣島 blog
↑いろいろな活動報告がなされていました!

サンゴ学習プログラム開発へ 八漁協養殖研究班など4団体 - 八重山毎日新聞

地元の事業者たちが中心となって教育活動をスタートさせたというのが個人的にとても興味を持ちました。これまでは環境教育についても研究者からの視点で考えることが多く、僕の中では「教育」と聞くとどうしても先生→生徒、専門家→一般の人々というようなどうしても上から下へのトップダウンの構図が拭いきれず、モヤモヤとしていました。非専門家である地元の人達が立ち上げたプロジェクトがどのように発展してその効果を発揮するのかとても楽しみです。

あと、ブログにあったサンゴテリトリーウォーズというカードゲームがとても気になりました。やってみたい!(ルール発見!!→ サンゴのテリトリーウォーズ


3. 「海」をテーマにした様々な実践教育

琉球大学教育学部の吉田安規良先生の事例紹介では、学校教育における様々な教科で「海」をテーマとした実践授業を考案することで、実施のハードルを下げつつ多様なアプローチを行えるという事例が紹介されました。

海洋教育と聞くと多くの人が理科の授業を思い浮かべると思います。しかし、実際に海に行ったり、海の生き物を使った実験などは実施へのハードルが高いのが現状のようです。そこで、理科以外の教科で「海」をテーマに取り上げて行った海洋教育の事例を紹介してくださいました。

琉球大学における海洋教育(PDF)
↑セミナーでお話いただいた内容とだいたい同じ資料を見つけましたのご参考までに。

算数・数学、社会、体育、美術、家庭科といった教科での取り組みの他、各教科の枠組みを超えた実践教育についても触れられていました。もちろん科学的な要素も大事ですが、それも1つの側面。より多くの人々に海洋教育を実施したいのであれば、様々なアプローチを行うのは確かに有効だと思いました。




と、まあ途中で心が折れつつもこんな感じで。

他にもアメリカの海洋リテラシーの話など初めて聞くこともをたくさんあってとても勉強になりました。アメリカでは海洋教育の有識者らによって、海洋リテラシーを「海が人に与える影響、人が海に与える影響についての理解」と定めて活動を広げているようです。また、つい最近になって学校教育の基準を定める Next Generation Science Standards に海洋科学が導入されることが決まったとか。

Ocean Literacy
Next Generation Science Standards

海洋教育に関してはアメリカが先を進んでいるようですが、今回のセミナーに参加した限りでは日本の海洋教育はまだまだこれからという感じ。海洋系のサイエンスを専攻していて将来は教育分野に関わりたいという人にとっては注目すべきキーワードになりそうですね。





0 件のコメント:

コメントを投稿