2013年12月21日土曜日

全くもって幻想的でないアザミサンゴの産卵

サンゴの産卵といえば、よくテレビで見るような多くのサンゴが一斉に放卵放精を行い、暗い海の中でまるで星空のようにバンドルが浮かぶ幻想的なシーンを思い浮かべるかと思います。

参考:コユビミドリイシの産卵についてのあれこれ

ところがどっこいそうでもないサンゴもいるのです。例えばアザミサンゴ。


アザミサンゴ Galaxea fascicularis


アザミサンゴはポリプの一つ一つが大きいので、同じ大きさの群体でも1群体あたりのポリプの数はミドリイシなどの小さなポリプを持つサンゴには遠く及びません。1つのポリプが1個のバンドルを放出するので、バンドルのトータルの数も少ないです。そのかわりに、アザミサンゴはとても大きなバンドルを放出します。

ということで今回も動画にまとめました。



うーん、やはりミドリイシのような雰囲気はでませんね・・・。しかし、なんかすっきりするというか、別の意味で感動しますね(笑)

動画でも説明したように、アザミサンゴは雄と雌の群体にわかれています(雌雄異体)。雌は卵のみを放出しますが、雄が精子と受精能力を持たない偽卵(pseudo-eggs)をバンドルにして放出します。雌が放出した卵は水面まで浮上して表層を漂っており、この偽卵は精子を卵が浮かぶ海面まで運ぶ役割を担っているのではないかと考えられています。ちなみに卵と偽卵の区別は簡単で、雌の卵はピンク色、雄の偽卵は白色をしています。

動画には雄の放卵放精しかありませんでしたが、雌はこんな感じで赤っぽい卵をぎゅっと固めたバンドルを放出します。



アザミサンゴの産卵は7月または8月となっており、満月から1週間後くらいに産卵がみられます。日が暮れてすぐに産み始める群体もあれば、21時~22時くらいになってようやく産み始める群体もあります。群体ごとに産卵時間がずれることもあるようですが、ちゃんと受精できるんですかね。ちなみに今年の産卵は7月22日に観察することが出来ました。

そんなアザミサンゴの産卵ですが、産卵時期が近くなると、ポリプの中に卵を確認することができます。今回は産卵の1ヶ月前にはすでに卵を持っていることが確認できました。



ピンクいのが雌の卵。矢印で示した色が濃くなっている部分は核になります。




という感じでミドリイシとは違った感動(というか驚き?)のあるアザミサンゴの産卵でした。

同じサンゴというくくりの生き物ですが、性のあり方(雌雄同体・雌雄異体)や放卵放精の形式も様々です。そのへんがとても好奇心をくすぐりますね。また別の種の産卵を観察する機会があるといいのですが。


※今回は研究活動の一環で観察する機会を得ることが出来ました。研究に必要な採集は県の許可をもらって行なっています。

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